2007年2月 1日 (木)

情報について(2)

良質な情報というのがあるとすれば、それは受け取る個人個人にとって都合のいい情報でしかない。ひとは自分にとっておいしい情報しか欲しくないのだ。そこで、できるだけ多くのひとにとって都合のいい情報、つまりより多くのニーズのある情報をコンテンツとしてもつメディアがそのまま高視聴率のテレビ番組であり高発行部数の新聞雑誌ということになる。

だから、そういう情報を発信する側にとって重要なのはその内容ではなく、それがいかに受け手を満足させるかでしかない。このカスタマー・サティスファクションというのはマーケティングの基本であって、営利企業であるマスコミ各社がそれをいちばん重視するのはあたりまえのことだ。出版社だってそうだし、健康食品や医薬品を売り物にするひとたちだって同じこと。営利企業じゃないはずのNHKだって同じことをやってるし、ときには学者や医者もその仲間だったりする。そうじゃないと売れないんだからしょうがないのだ。それしか判断基準がなくなっているということなのかもしれない。

ちょっとでも自分の健康に不安をもっている人にとっては「がん」だとか「健康」についての情報がお手軽に入手できそうな見出しは魅力的だ。もしかしたら自分もお手軽に怖い病気から逃れられるかもしれないし、ひと前でそんな知識をしたり顔で披瀝することもできる。「ダイエット」なんていうのもしかりである。

末期がんの患者やその家族がわらにもすがる気持ちで次から次へと高価な代替治療にはしってしまうのを誰も笑えないだろう。かれらはわずかでも期待をもたせてくれる情報への対価を支払っているだけなのだ。まあ『あるある』を見て納豆を買いに走った連中ぐらいは笑ってもいいと思うけど。

もし今を高度情報化社会と呼ぶのなら、そこは単に情報がより不確かであやふやな衣をまとっている世界でしかなく、われわれはそのことをできるだけ自覚しながらさまよっていくしかない。変な自信をもつということは単にそのことに無自覚なだけなのではないだろうか。

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2007年1月29日 (月)

情報について(1)

がん告知からもうすぐ一年になるが、これまでずいぶんいろんな人がいろんなアドバイスを受けてきた。それは治療方法の選択に対するものもあるし、退院後の生活に対するものもあるし、生き方に対するものなんてのもあった。多くは知人友人からのものだけど、ネット上のぜんぜん知らない人からのものもあった。

「がんなんて手術すれば治るのに、なんですぐに手術をしないんだ」から「こぶ茶を飲め」、「酒は飲むな」、「プロポリスを飲め」、「肉は食うな」、「きのこを食え」、「食生活そのものを改善しろ」、「玉川温泉に行け」、「頭に針を刺せ」、「○○療法をやれ」(いろいろあって忘れた)、「宇宙パワーを浴びろ」(これはウソ)、「マリファナを吸え」(これはホント)、まだまだあるけど忘れた。

どれも善意からのものだろうし、なにを言ってもらってもいいんだけど、不思議だなと思ったのはそういうアドバイスをする誰もが自分の意見にとても自信をもっていること。だけど、そういう情報がどこから出ているかというと、「知り合いがそう言っていた」、「新聞に書いてあった」だったりするし、その自信の根拠はどこにあるかというと「みんなそう言っている」、「がんになった親戚がそれで再発もなく生きのびている」、「科学的な裏づけがあるらしい」という程度のものである。あくまでも一般論としていっているだけだ。

基本的にぼくはそういう声にぜんぜん耳をかたむけないので、みんなこいつはサル並みの判断力しかないと思っているのだろう。たしか、せいぜい現在の日本あるいは海外での医療における食道がん治療のスタンダードがどういうものなのか、それぞれの治療がどういう効果をあげているのかを調べたり、漢方をはじめとする多くの民間療法や免疫療法がけっきょくは単なる金もうけ目当てのいかがわしい商売にいきつくということに気づいたりした程度のことしかしていない。

でも、ちまたに流布する医学情報の多くが「納豆でやせる」と五十歩百歩、メクソハナクソ程度のものだというぐらいの認識はある。こんなことを言うと、みんな「自分の持っている情報はあんなねつ造番組とは違う」としか思わないんだろうけどね。

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2006年11月26日 (日)

教育・啓蒙・洗脳(2)

16日に書いた愛国教育の話について、番組を見ていなかったひとからいろいろ聞かれたりしたんだけど、メモとかはとっていなかったのでネットで調べてみたら、やはりあの洗脳風景を不気味に感じたひとは少なからずいたようで、これとかこれとかけっこうひっかかってきました。

この授業は東京都練馬区立開進第三小学校の渡邉万里子という教師がやっていて、番組ではその授業の様子だけじゃなくて、その成果を東京都教職員研修センターというところで自慢げに発表しているシーンも発表されていました。その発表の内容も公開されています。

コメントでちくってくれた人もいたけど、ぼくが行っていた高校は右翼養成学校とも噂される学校だったんだけど、残念ながら思想教育というほどのものはなくて、たんに軍隊式の厳しい教育をしていますよというのを宣伝ツールとしているというか、どちらかというと戸塚ヨットスクールに近い頭の悪さのある学校だったような気がします。

校長の語録というのがネットでみつかったけど、この程度のもんだからな。
生徒は馬だ。教師は調教師だ。
我が巣鴨学園の前に新幹線の駅を作る。
文部省は間違っている。あいつらは馬鹿だ。
 だから、文部省からは一切補助金はもらわない。
 その代わりあいつらの言うことも一切聞かない。

実はむこうはいっしょうけんめい思想教育をしているつもりでこっちがノータリンすぎて何にも感じなかっただけかもしれないけど、右翼でもなんでも思想教育をするにはそれなりの教養というか理論武装が必要なわけで、どこにもそんな知性は感じられなかったしな。

この渡邉という教師に知性が感じられたというわけではないけれど、国旗掲揚をしての朝礼で「帽をとれー!」とかいうかけ声をかけたり、何百人もの生徒がふんどしをしめて遠泳をしたりするいち私学よりもこの公立小学校の授業風景とその背後にあるもののほうが何十倍も不気味に見えてしまったわけです。

もちろんもっと不気味なのはそのことを公平な報道のかたちをとって巧妙に、あるいは無自覚なまま流布してしまうメディアのほうなんだけどね。

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2006年10月13日 (金)

ひまつぶし(1)

YouTubeがついにGoogleに買収されたわけだけど、YouTubeは著作権問題はクリアしていくから大丈夫だとかいってい。とはいえ現在だってクレームが来てるものは次々に削除しているわけだし、それでもあちこちから訴訟されてるみたいでいちいち著作権の処理なんかしていたら手間(=お金)がかかりすぎて立ち行かなくなるのは目に見えているわけです。

個人的には素人投稿ビデオみたいなのには興味がなくて、こんなのこんなのを見て驚いたり笑ったりしているけちなユーザーのひとりなんだけど、YouTubeが企業として大きくなってってこういう海賊的な部分はとうぜん少なくなってくるわけど、そうなるとたぶんあんまり見なくなるんだろうと思ってしまう。

話はちょっとずれるけど、こういうお化けサイトが登場した背景にはアメリカのアーカイブ文化のすそ野の広さというのもあるのかなと思うのは、最近いろんなミュージシャンがネット上で過去のライブ音源や映像を公開しているのをたどったりしていて非営利のアーカイブサイトがいくつもあるのを知ったからです。

たとえばこのサイトには4万ちかくのライブ音源が登録されていてその多くは(たぶん)無名のひとのものみたいだけど、なかにはビッグネームもあったりしてリトル・フィートが150、デレク・トラックスが485、フィル・レッシュは741ものライブ音源を公開しています。

あとここなんかにもディープな音源や映像がたくさんあって、ショーン・レノンがいいおっさんになっているのにはちょっとショックを受けてしまった。まだ31歳なんだけどな。まあ、おやじも若いころからおっさんぽかったからな。

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2006年7月17日 (月)

広告の話(1)

下にでている広告についてきかれることがありますが、これはこのブログを運営するために一銭もはらっていないので、その代償としてもれなくついてきてしまうものです。どの企業の広告を出すかは、キーワードとキーワードを連動させるソフトとかが文中に登場する単語から自動的に決めているのでしょう。

清志郎の記事のあとには「RCサクセション」「コンサート」「ライブ」という単語に関連した広告がでていたし、プロレス技のあとには「週刊プロレス」の広告、検査のあとにはがん検査の広告がでていたりしました。人間がチェックしてないんだろうなあと思ったのは先週あたりにセブン・イレブン関連の広告が多くでていたので、なぜだろうと考えていたら、これはウルトラセブンという単語に反応してしまったからで、これはどう考えてもミスチョイスですね。

ジャンルとしては圧倒的にがん関連のものが多いのはしょうがないんだけど、インチキくさい免疫療法や健康食品の広告がでていたりすると、イヤだなあと思ったりするわけです。

とここまで書いておもったんだけど、具体的な企業名をだしていないにしてもスポンサーのことをこのように「インチキくさい」などと悪口をいうのはテレビや新聞雑誌では絶対タブーだということ。もちろんメディアの規模でいったら比べようもないし、お金を一銭でももらっているわけではないんだけど、広告主は広告主です。テレビでスポットCMだからといって企業の悪口が許されるってこともないだろうしなあ。

インチキくさい「がんの免疫療法」だとか、ぜんぜん効かなそうな「がん治療」だとか、お金をドブに捨てるような「がんに効く健康食品」のことを、インチキくさい「がんの免疫療法」だとか、ぜんぜん効かなそうな「がん治療」だとか、お金をドブに捨てるような「がんに効く健康食品」とか書き続けても、インチキくさい「がんの免疫療法」だとか、効かなそうな「がん治療」だとか、お金をドブに捨てるような「がんに効く健康食品」の広告は続くのだろうか?

それともソフトに悪口をチェックする機能があったり、やっぱり誰かがチェックしていて、そういう広告をストップしたり、お前そんな記事を書くんじゃないよとかおこられたりするのだろうか?

路上にある広告のよこでその商品の悪口をいってもべつにかまわないということなのか。でも、アクセス数がふえていったらそんなこともいってられないだろうしなあ。

おっ、こんどは「日本極道史」の広告がでているぞ。これは何に反応したんだろう?

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