卓越した医療チーム 6
みゅう弟です。
<緩和ケア>
「治療」は行わない。「治す」という行為は行わず入院をしている。この病院は緩和ケアの専門科があるわけではない。通常の「治す」行為の隙間に入れてもらっている状態である。意外とすんなりと受け入れてもらったけれど、医療チームとしては大変な決断だったのではないだろうかと思う。兄貴はこの決断に本当に感謝をしていた。一歩間違えばがん難民となり、極度の痛みにのた打ち回りながら自宅で死ぬのを待つしかない状態になりえたのだから。
「治す」プロ達が「治さず」、痛みを和らげ、精神的に安定させる行為に注力するという医療行為を行うのである。その医療行為をバックアップするためのシステムも人員体制もこの病院にあるわけではない。それでも「最後まで面倒を見させていただきます。」と言ってくれたのである。ナース達は大変だったのではないだろうか、と思う。緩和ケア専門の教育を受けたわけではないだろうし、緩和ケア専門の医療体制があったわけではないはずだ。その状況の中で兄貴の面倒をあそこまでしっかりと見てくれた。
兄貴が亡くなった後、主治医のB先生にご挨拶に行ったときに語ってくれた。兄貴を受け入れることには、様々な議論があったそうだ。受け入れるにあたっての条件の中で一番重要なのは患者の資質、二番目は患者の家族の協力体制。この二つの条件が揃っていなければ緩和ケア体制が無い中での受入れはできない状態であったそうだ。
兄貴はおとなしく、我慢強く、理解力も高く、患者としては優良患者でナース達からも評判が良かったようである。兄貴の入院中は必ず母親が毎日見舞っていた。これも二番目の条件の重要な判定材料だったようである。
入退院を何度も繰り返していた時の退院の条件は、家族が完全に24時間付き添うことができることでもあった。
この病院にこそ緩和ケア専門科があれば良いのに、と思ってしまう。
6回に渡って書きました。全て本当のことです。誇張もしていなければ美化もしていません。先生方、ナースの皆さん、本当にありがとうございました。
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コメント
本当にありがとうございます。自分たちが行ったことをこんな風に書いて頂いて。これでよかったのか。いつもそう考えて次に向かいます。
うちの病院で緩和ケア科ができたら。私もそう願います。
投稿: NS 長谷川 | 2009年4月26日 (日) 21時18分