緊急入院
ちょっと調子が悪いのでまた入院しました。こんどはちょっとですむことを期待してますが……
余命宣告を受け今後の治療を拒否してからまず思ったのは「ああ、これから病院探しをしなくちゃいけないのか。めんどくせえな」ということでした。この病院には緩和ケアはありません。
もうするべき治療がなくなりそれまでいた病院を追い出される
⇒ 緩和ケアのある病院を探す
⇒ なかなか見つからない
⇒ がん難民となる
というのが、新聞などでよく見かけるがん難民のパターンです。これまでのこの病院での入院生活の中でも、もうするべき治療がなくなりホスピスなどに移っていく同室の患者も何人も見てきました。
「もうこの病院にはいられないのでしょうか?」
ストレートにきいてみました。
すると主治医のこたえは
「この病院には緩和ケアのシステムはないが、最後までいてもらうのには何の問題もない。最後まで責任もってお世話させていただく」というものでした。この病院で見かけた、やるべき治療がなくなってホスピスなどに移っていく患者というのは最後の何ヶ月かを自分の地元で過ごしたいという理由から病院を移るというケースが多いようです。この病院にはけっこう遠くから来ているひとが多いのです。おれの場合、とくに帰るべき地元というのもないのでたぶん最後までこの病院にお世話になるということになるのでしょう。
おれはがん患者としてはめぐまれてるってよくいうんだけど、ここでもあらためてそう思ったしだいではあります。
主治医とのつきあいももう2年半を越しているけど、再発のことをどうやって本人に伝えるか、さすがに今回は悩んだらしい。家族を呼んで、治療の方向についてもみんなで相談してもらうというのがよくあるパターンだけど、おれの場合これまでもぜんぶ自分で決めてきたみたいだし、ひとのいうことなんかききそうにないし、ということで本人に直接はなしちゃうことにした。正解だ。
話しかたについても迷った。あまり情報や知識のない年寄りの場合とかだともっと抗がん剤のメリットを強調して話をそっちに持っていくことも多いんだけど、おれの場合そんなことしても無駄かなと判断し、話はストレートにすることにした。これも正解だ。
実際抗がん剤がそれほど期待できるものではないというある程度のデータっていうのは公表されているわけで、この患者はそういうものにも目を通していそうだしね。
わずかな可能性にも希望をつないで、どんな苦しみにも耐えて、さまざまな治療法に挑んでいくのが勇気あるがん患者の姿としてひとつあることは知っているけど、おれはそーいうのは嫌なのだ。わずかな時間もエネルギーもそーいうことに費やしたくないのだ。残された時間がわずかなら、できるだけ楽しいことにだけ使っていきたい。
そーいうおれの希望を話したところ主治医は「分かりました。それもまた患者さんのチョイスですから、できるだけ三浦さんの希望にそえるよう我々もできるかぎり協力していくことにします」ということで最後までがんばらないぞ宣言は受け入れられたのでした。
先週はまたまる投げというか、はやりのことばを使うなら偽装ブログでお茶を濁したわけですが、今回は本物が書いています。しばらくは本物がほんとうのことを書いていきます。先週も書いてあることはぜんぶほんとうのことだけどね。
今年に入ってから(正確にいうと去年の大みそ日から)いろんなことがありすぎるほどありました。ブログで伝えられていることはそのうちのほんのわずかにすぎません。これからもいろんなことがあったりやったりしていくことになるでしょう。また偽装にたよることもあるでしょう。でも、そんないろんなことのディテールがちょっとずつ変わっていくはずです。すべての行動のモティベーションがまったく変わってきたからです。
なんでこんな宣言めいた、キャラに合わないことを書くのか、結論からいえばもう時間がないからです。この4月の検査で左頚部リンパのあたりに大きな再発が見つかりました。これまで何度か書いてきたことですが、僕のレベルまで進行した食道がんの全摘出手術後の再発については国立がんセンターの解説でもこのように書かれています。
どのような治療をしても、再発したがんが治る可能性は非常に少ないと考えねばなりません。再発した場合には、およそ半年ぐらいの余命と考えられます。放射線治療や化学療法で1年以上生きられることもありますが、がんの進行が早ければ3ヶ月以内のこともあります。
これは日本の、というか先進国における医療のスタンダードですが、もちろん医師としては打つ手がないなどということは言えず抗がん剤治療をすすめるしかないわけで、ぼくが言われたのも似たようなことです。
かなり甘く見て余命1年。抗がん剤治療をしてそれが数ヶ月延びるかどうか。はっきり言ってそれがゼロの場合もじゅうぶんにありうる。ぼくは即断しました。
抗がん剤治療はもう受けません。
16:15
「まだ分かんねーのかよ!痛てえよぉ、痛てえよぉ、ひえ~!!」
検査はしたが相変わらず放置のまま、痛みは増す一方。見るに見かねた弟が医師を呼ぶ。医師Aが来たが、痛みが増した腹部を押しやがる。
医師A:「これは痛い?」
俺:「痛い!」(痛てえっつってんだろ、ばーろー!押すんじゃねえよ!)
医師A:「これはどう?」
俺:「痛い、痛い!」(だからよ、痛てえっつってんだろ、見てて分かんねーのかよ、ばか!これ以上押すなボケ、カス、ハゲ!)
医師A:「ここは?」
俺:「うあぁー!!」(あぁ、また押しやがった。そこが一番痛てえんだよ、触んな、ばーろー!!)
散々俺を痛めつけた挙句帰った。戻ってきて採血をし、違う痛み止めを投与開始。
17:00
「あれ?ちょっと痛みが和らいだ感じ。」
あちこち押されてからしばらくは痛くてしょうがなかったんだけど、痛みに慣れてしまったのか痛みの進行が止まった感じ。あの日の極限的な痛みには発展しなかったようだ。「これでまた手術したらもっと痩せちゃうなぁ。」なんてことを考えていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
19:10
「どうですか?まだ痛いですか?」
医師の声で目が覚めた。さっきの医師Aとは別な医師Bが顔を覗き込んで話しかけている。俺が目覚めたのを確認する間もなく医師Bの手が腹部に伸びていく。俺は一瞬息をのむが間に合わない、また押される!ひえ~!!
医師B:「これは痛い?」
俺:「...いいえ。」(あれ?)
医師B:「これはどう?」
俺:「いいえ...。」(さっきのはどこに行っちゃたのかな?)
医師B:「ここは?」
俺:「はい、少し」(あぁ、あった、あったこれこれ。)
完全ではないがいつの間にか痛みが抜けていた。医師Bが家族に何か説明をしている。その声を聞きながら「あぁ、助かった。切らずにすんだよ。」なんてことを思ってたらまた眠ってしまった。
医師Bの判断は...、
・腸の一部が何らかの原因により狭くなってしまった。
・腸液の通りが悪くなり、狭くなった部分の手前に腸液が滞留。
・腸液滞留部分の腸が膨れ上がり、それが激痛となる。
・腸の腫れを抑える薬を投与。(変えた痛み止めと思っていたやつは実はこの薬だった)
・腸の腫れが引くことにより、腸液の流れが確保され、通常な状態に。
・狭くなった部分は慢性的なものではなく一時的なもの。
・前回の腸閉塞に近い症状と考えられるが、腸のねじれ、腐敗はおきていない。
この判断はエコー、CT、採血の結果で分かったものではなく、症状と投薬による反応および検査結果から総合判断したものであるそうだ。今回の場合エコー、CT、採血だけでは目視できる結果は何も得られず対処に時間がかかってしまったそうだ。
もう、痛いのはいやだな。
こんな瀬戸際をまた繰り返す病院デイズ10日目の出来事でした。
※本人は手の痺れのためキーボードを叩けないので、代わりに記事をアップしているのはみゅう弟です。
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入院も10日以上たったのでだいぶ飽きてきたのでお見舞い大歓迎です。でもこんな調子なのでかなりへこたれております。せっかくお見舞いに来ていただいてもお話ができなかったりしますので、できればいらっしゃる前に事前にご連絡を頂けると大変ありがたいです。
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9月8日朝食後
8:45
「あれ?なんか痛てえなぁ。」
最近、首まわりの痛みが増してきたのでこいつの量を増やした。その副作用で眠けがひどい。この日も午前中はほとんど寝ていたんだけど腹の違和感で目が覚めた。食べ過ぎた時に後からやってくるあの痛みとはちょっと違う。痛みも違うし痛む場所も違う。遠くであの日のことをちょっと思い出しながらも、頭の中で打ち消して様子を見ようと能天気に放っておく。
9:30
「あぁ、痛ってえ。」
ずん、と痛みが一段増してきた。ここのところ心配が大きな心労になるくせに、やることが能天気な俺は「同じ痛み止めだ。」ということでまたこいつを飲んでみたりする。状況変らず。
9:40
「うわぁ、すっげー痛てえ!」
あまりの痛さにナースコール。状況を聞いたナースは医師に相談へ。いつまでたっても帰ってこない。放置プレイか。あの日のことが頭をよぎるが、あの日の痛みはこんなの比じゃなかったなぁ、と思い起こし自分を納得させようとする。戻ってきたナースが痛み止めの点滴を追加するが状況変らず。
11:15
「おい、痛み止め効かねえじゃねえかよ!痛てえよぉ、ひえ~!!」
医師Aがやっと来た。すぐに検査をするとのこと。エコーとCTの手配にかかる。痛みはどんどん増していく一方だし、痛み止め効かないし、やっぱあいつか!とあの日のことが頭の中をグルグル回りだす。
長くなったので、 つづく
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ちょっと分かりすぎかだったかな?
ということで、都心で入院中です。
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