ジェフ・ベックな夜(2)
きょねん食道の手術をするときに、これからしばらくは寝たきりで本も読めないパソコンも開けない状態になるんだなあ、iPodで音楽を聴くぐらいしかできなくなるんだなあと思って買いこんだCDが何枚かあってこれは手術が終わってからじっくり聴こうと思っていたんだけど、でもよく考えてみるとこの手術も2パーセントぐらいは手術中に死んじゃう可能性もあるし(これは病院のデータで日本全国の平均では5パーセントぐらい)死んじゃわなくたってとうぶんは意識がはっきりしなくて音楽を聴くどころじゃないんだということに気づいて、手術の前の夜にあわてて聴いた何枚かのうちの一枚がジェフ・ベックの『ライヴ・ベック'06』でした。
このアルバムは公式盤としては日本でしか発売されていないもので、いまアメリカのアマゾンを見ても日本からの輸入盤として売られている。だからといってジェフ・ベックが日本いがいではマイナーなアーチストかというとそんなことはなくてミュージシャンズ・ミュージシャンとして数多くのミュージシャンから世界最高のギタリストとして尊敬される存在であることはまちがいないんだけど、使ったギターにオークションで50万ドルの値がついたり再結成ライブに沢尻エリカがきたりそのチケットに8万3千ポンドの値がついたりというようなミーハーな存在でもない。
おれは2001年にパリでのコンサートに行ったんだけど会場はオランピア劇場。オランピアといえばエディット・ピアフはじめシャンソンの殿堂として知られる老舗劇場だけど客席数は2千足らず。アリーナ公演スタジアム公演がめずらしくなくなった現在、東京だったらそこそこ、どちらかといえば小さい会場だ。公演数も2日だけでけっこう直前に買ったのにすげえいい席がとれた。フランスはロック不毛の地なのでいちがいに比較はできないんだけどほかの国でもたとえばアメリカでもそんなに大きな会場はないみたいだし、東京だけでも武道館とか東京国際フォーラムという大会場が何日も売り切れてさらに地方公演まである日本とは大違いなのです。
なにがいいたいかというと、渋谷陽一もここで書いているように日本のおじさんは世界でいちばんジェフ・ベックが好きだということです。この夜、ジェフ・ベックの曲をたくさんやってすげえうれしそうだったチャーはそんな日本のおじさんの代表選手なのだということでした。
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ライヴ・ベック’06
アーティスト:ジェフ・ベック |
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