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2008年2月29日 (金)

大みそかのこと(13)

2:00am
大きな扉を通過するとちょっと広めで薄暗い廊下が長く続く。両側にたくさん手術室が並んでいるが、当然のことながらほかの部屋は真っ暗でおれが入る手術室だけ明るく光がもれている。当然のことながら手術室の中は寒々しい。っていうか、手術室ってもともとそんなに暖かくはしないんだよね。すでに何人か白衣姿のドクターが来ている。みんなマスクに帽子をしていて誰が誰だか分かんないんだけど、そのなかのひとりが近づいてきてにこにこしながら
「いやあ、三浦さん、どーしました?」

このが体のでかさと能天気さは主治医の○○先生だ。
どーしましったっていわれても答えようがないんですけど。
「あっ、あのー、いっ、いたいんですけど……」

「うーん、そうですよねえ」

などという間の抜けた会話をしているうちにまわりではどんどん準備が進んでいく。基本的にはまえの食道の手術の時と同じなので、次に何をされるのかが分かっていて、なんとなく不安感がなくてちょっと気が楽。

心電図のための電極を貼りつけたりしたあとは麻酔の準備。現在の大きな手術では硬膜外麻酔(脊椎麻酔とは違う)と全身麻酔の併用が一般的になっています。まず、背中のまん中あたりにチューブを入れるための痛み止めの注射を打ちます。痛みとしてはこの注射がちょっとちくっとするぐらい。次に針を刺して点滴と同じ要領でチューブを挿入する。このチューブは手術が終わってからも1~2週間は入れたままで麻酔薬を体内に送り続けてくれる。このおかげで手術後の痛みがかなりコントロールできて、とにかくすげーありがたい麻酔なのだ。

この硬膜というやつの内側には神経がたくさんスパゲティみたいに束になってあって、破ってしまうと大変なことになるので、針をこの一歩手前で寸止めしなくちゃいけなくて、とにかくそんなとても技術のいる処置なわけで、そーいう技術のある麻酔科医がスタンバイしていて、そーいう麻酔の準備もこの二時間ぐらいのあいだにしなくちゃいけなかったわけで、それもやっぱたいへんだったんじゃん。

麻酔科といえば先日こんなニュースがあったけど、そうなのだ優秀な麻酔科医は少ないのだ。

この処置が終わると、あとは酸素マスクをつけ、全身麻酔のガスが送られてきて、おやすみなさい。あとは、よろしく。

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コメント

しかし
誰かが辞めたからじゃぁ僕も
って、、、
社会人としてどうーなんでしょー!?

投稿: lily | 2008年2月29日 (金) 21時14分

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