大みそかのこと(10)
00:00am
レントゲンとCTを撮ったのが病院に着いてすぐだったのか、かなり待たされたのか、それ以外の出来事の順番も時間経過もすべてあいまいである。記憶どころかその時点で何が起きていたのかどの程度認識していたのかもかなりあいまいだ。痛みが強いと意識がはっきりするなどというが、おれの場合はそんなことはなくて、痛みの重さに押しつぶされて漬物になったみたいな気分で「痛いよう、苦しいよう」とか思いながら、脳の中はトリップしているような状態になっていて、そんななかのあいまいな記憶の断片を、いま、てきとーにつなぎあわせているにすぎない。
それでもCTの同意書はサインしろと言われた記憶はあるな。でも、もう自分の名前なんか書けなくて、むかしの字が書けないひとみたいにバッテンだけ書いたような気もする。そんなわけないか。弟が代理でサインしたのかな。風景そのものがかなりあいまいだ。現実というよりも、いつかどこかで見た映画のワンシーンのような感じでもある。
とにかくいつのまにか手術をするということで全ては進んでいた。
「何時に開始できるんだ?」
「2時を目標に準備を進めています」
3号の質問に1号が答える。
いろんなチューブ類が次々と体に突っこまれていくので、ああこれから手術をするんだなと認識し始めていたような気がする。
尿管を入れる。これはけっこう痛いはずなんだけど、そんな痛みの記憶はぜんぜんない。しばらくは使わないことになる腸液を排出するためのチューブを鼻から大腸まで入れる。
こういった作業はふつう手術室に入り麻酔で眠ってからやるものである。切ったり穴をあけなくてすむ、ここでできることは今のうちにやっておいてしまおうということ。それだけ切羽詰っているということか。前回の食道の手術の時は手術が終わって目が覚めたら管だらけになっていたわけだけど、今回は意識があるうちにどんどんスパゲティ状態になっていくのがちょっとおもしろかった。
ああ、その前に手術着に着替えさせられていたのかな。手術着とはいっても布一枚を体に巻くだけみたいなもので、下半身にはT字帯という紙でできたふんどしみたいなのを着けさせられる。手術着は手術のちょっと前にナースが持ってきてくれるんだけど、T字帯はふつー手術の前日までに売店で買っておけと言われる。140円とかだったような気がするな。でも、今回はそんなこと言われなくてナースが持ってきてくれた。あたりまえだけど。
緊急とはいえ、手術までの道のりは長いのだ。マンガやテレビドラマみたいにはいかないのだ。あたりまえだけど。
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コメント
だから!
そんなにひどくなるまで我慢するな!
っちゅうねん!(><)!
投稿: lily | 2008年2月15日 (金) 02時11分
このところ連日出張でアクセスできず、やっと開けたら既に(10)の大台に。怒涛の更新に全くの遅れをとっておりました。それにしても、文字通り死にそうなくらいお腹が痛い状況でどこまで意識があるかの空前絶後のリポート。読む方もかなりの体力消耗。
投稿: 愛読者2 | 2008年2月15日 (金) 22時04分