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2008年1月10日 (木)

癒着はやめよう

腸というのは、あの長いぐにゃぐにゃしたのが適当におなかに詰めこまれているようで、じつはそれなりの必然性をもってレイアウトされているものらしい。体を曲げたりひねったりしてそれが多少ずれても元に戻る。そうじゃないと折れ曲がったままとかつぶれたままだと胃から来たものが通らなくなるし、腸には大事な血管も通っているのでその流れが妨げられてしまいます。

腸閉塞にはいくつかのパターンがありその原因もいろいろなんですが、今回のは6月の食道の手術によって小腸の一部が癒着していて、なんらかのきっかけでその周辺がねじれてしまったということのようです。このねじれも処置が早ければ開腹してそのねじれを元に戻すだけでなおる場合もあります。しかし、時間が経つとねじれた周辺の血流が止まり腸液がたまってくる。そのことによって組織が壊死をはじめる。よーするに腐りはじめるのです。よく戦争映画やヤクザ映画なんかで撃たれたり刺されたりして「腹をやられてるからもうだめだな」とか「腸まで達してるから助からない」というのはこれですね。

このねじれが起きてから腐りはじめるのがだいたい4時間だといわれています。腸が腐っていくスピードはその人の健康状態などによって差があるようですが、今回の場合は痛みはじめたのが午後一時半ぐらいで手術開始が午前二時、ほぼ12時間後だったわけであの程度の処置ですんだのはまだラッキーだったようです。たとえば糖尿をもっているようなひとだったらもっと早くアウトになっていたかもしれません。

腸閉塞の原因はこのようなケースだけでありません。食べて胃で消化されなかったものが腸の途中でひっかかってとか、ひどい便秘が続いたりとか、がんなど病気によって腸の途中に異物ができてたりとかいろんなパターンがあります。

またこの癒着というのがくせ者で、腸の一部に癒着があるからといってみんな腸閉塞になるわけじゃなくて、癒着があっても何十年もなんにも起こらず一生を終えるひとだってたくさんいます。っていうか、そーいうひとは癒着があったことすら誰にも分からないわけです。ぼくみたいに大きな手術じゃなくても、盲腸の手術が原因ということもあります。盲腸とかだと町医者でけっこうラフな手術をしてることも多く、腸の一部が癒着し何十年かたって悪さをすることもあります。この癒着は外からの検査では分からないので、なんらかの病気でおなかを開いてみたら腸の一部が癒着していて手術を中断せざるをえなかった。子どもの時の盲腸の手術が原因だった、なんてこともあるようです。まあ、そんなこと言われてもなあ、なんだけどね。

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コメント

とても勉強になりました。

投稿: クルル凹 | 2008年1月11日 (金) 20時36分

ふーむ、ふーむと読ませていただきました。
まだ"痒い&痛い"でしょうに、ありがとうございます。
ほんと、癒着はどの世界でもよろしくない。

ご回復を心からお祈りしています!

投稿: 愛読者1 | 2008年1月12日 (土) 09時07分

「腸というのは、あの長いぐにゃぐにゃしたのが適当におなかに詰めこまれているようで、じつはそれなりの必然性をもってレイアウトされているものらしい」というところに何故か感動しました。人間の身体というのはホントすごい。
手術の傷口の具合い、その後如何ですが。私の個人的経験では、ひどい吹き出物の膿がでたあとに医者がガーゼを何回も入れてなかなか直らなかったので、勝手にそれを引っこ抜いて抗生物質を塗りこんでガーゼを当てておいたらあっという間に直ったということがあります。手術と吹き出物一緒にしちゃいけないんでしょうけど。

投稿: | 2008年1月12日 (土) 13時17分

すみません。先ほどの医者のいうことを無視した投稿者は、愛読者2です。

投稿: 愛読者2 | 2008年1月12日 (土) 13時18分

前回の記事で腸閉塞で役立つ情報がないか調べたときに、
手術暦がある人は、多かれ少なかれ癒着があるらしい
とい記事が目に入りました。
やはり自然のものに手を加えるとひずみが生じてしまうということでしょうか。
「必然性をもったレイアウト」ていうのも納得ですね。なにはともあれ事なきを得て良かったですね。

投稿: bota | 2008年1月12日 (土) 16時22分

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