いつかは来ない(3)
「いつかは来ない」というのは、「いつか着るかもしれない服」とか「いつか読もうと思っている本」とかを処分しないかぎり家の中はかたづかないという整理のキーワードなんだけど、これは「とりあえず目先のことだけ考えよう」という考え方でもあるわけです。
抗がん剤の副作用で手足が不自由になってそれが少し回復してくるとまたダメージが来るということを繰り返していてほとんどひきこもり状態なんだけど、ちょっと調子がいいと発作的にどこかに出かけたりする。もう先週のはなしだけど浅草名画座でマキノ雅弘三本立てを見てきてしまった。
いまどきのこじゃれた映画館だと長時間いるとつらいけどこういうところだと途中で出入りしても、となりの椅子に足をかけて楽な姿勢をとって寝たりしてもぜんぜんOKなのでけっこう楽ではあります。
なんで浅草名画座かというと、新宿昭和館の思い出をつづった『名画座番外地』の川原テツが上映する映画の原稿を書いているというHPを見ていたら発作的に行きたくなってしまったのです。
入ったのは平日の昼すぎ。入場料はぴあ割引で900円(一般は1,200円)。客の入りは260席の一割ぐらい。あちこちからいびきが聞えている。昔と違ってさすがに場内禁煙は守られていて、みんなタバコは廊下で吸っている。場外のある日はきっと壊れかけた人が多くてまた雰囲気が違うんだろうけど、この平日の昼間にいるのは馬券を買おうという目的すらない、すでに壊れてしまった人ばかりだったような気もする。一本目の上映は9時40分からで一日をここで過ごそうという人も少なくないみたい。どう見てもおれが最年少だ。椅子は新しくなっていてけっこう座り心地はいい。
プログラムは
『男の勝負』東映1966
『ごろつき』東映1968
『やくざ囃子』製作:東京映画/滝村プロダクション、配給:東宝1954
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名画座番外地―「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記
著者:川原 テツ |
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