卍固めの謎
今年は東京12チャンネル時代(1974-1981)の国際プロレスの映像がついにDVD化され大きな話題となった。個人的には実際に見ていたこの時代の試合に思い入れは強いわけだけど、あまり見ていないTBS時代のほうがいろいろと発見があっておもしろかったりもする。
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竹内宏介監修 伝説の国際プロレス 1969-1974 DVD-BOX (通常版)
販売元:ポニーキャニオン |
このDVDの本編に収録されているのは四試合。
藤井三吉vs佐野浅太郎
大磯武vs大鋼鉄之助
グレート草津、サンダー杉山、豊登vsゴージャス・ジョージJr、バディ・コルト、ゴードン・ネルソン(以上1969年10月29日新潟市体育館)
サンダー杉山、ラッシャー木村、寺西勇vsモンスター・ロシモフ、イワン・バイテン、デイト・コバ(1972年5月2日渋川市体育館)
どれもそれなりに楽しめる試合だけど、このDVDの目玉はなんといっても特典映像の方だ。竹内宏介個人所蔵の8ミリや16ミリの試合映像を、竹内がストロング小林の自宅を訪れふたりで解説を加えながら見るという趣向になっている。小林vsバーン・ガニアやビル・ロビンソン、グレート草津vsエドワード・カーペンティア、カール・ゴッチvsビル・ロビンソンなどなど、フィルムは不完全なものが多いけど実際に見るのは初めての試合ばっかりでこーいうのを見ていると、やっぱり生きていてよかったなあと思ったりするわけです。
でも、このDVDでいちばん驚いたのは本編に収録された最初の試合、当時の前座であったろう藤井三吉、佐野浅太郎戦だ。ちなみにこの藤井三吉というのはのちのヤス・フジイなんだけど、なんと最後に卍固めで勝っているのだ。この頃のプロレスの試合、とくに前座の試合というのはヘッドロック、ボディシザース、ボディスラムぐらいの技だけでえんえんと20分、30分やっているのがふつーだったわけで、そこに卍固めというのはかなり違和感がある。
卍固めというのは当時のアントニオ猪木の必殺技で、非常に高度な技で猪木以外の選手にはできないということになっていたはずである。小学生のぼくたちでも簡単にかけることができるなんていう事実には子どもながらに目をつぶっていたのに、他団体とはいえ前座レスラーがそう簡単に使っていいはずはない。
この1971年10月というのは微妙な時期で、猪木は日本プロレスを追放され新日本プロレス設立に向け奔走していたはずである。そーいう時期だからこそ、吉原社長がわざと前座の藤井に使わせたりしたのだろうか。しかし、人格者として知られる吉原さんがそんなことするとは考えにくいしなあとか、この卍固めひとつでいろいろと考えてしまう。やっぱり昭和のプロレスはおもしろいなあ。
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不滅の国際プロレス DVD BOX
販売元:ポニーキャニオン |
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