声
こーいう声を出すおっさんがとなりのベッドにきました。
一年前に食道がんの手術をし、がんがかなり上のほうにあったので喉頭も声帯も大きく取ってしまったらしい。今回は再発予防のための抗がん剤治療で3日だけの入院。
こーいう小さめのひげそりのような機械をのどのある箇所に押し付けそこを振動させることで声を発生させるんだけどくわしい理屈はこちらに。かなり練習が必要らしく、ちょっと教わってやってみたけどぜんぜん声にならなかった。
「ハヒフヘホ」がどうしても発音できずに「アイウエオ」になってしまう以外は発声できるのでとくに問題なく生活できてるということだ。このひとは68歳でもう仕事もしていないということで、いまの声もそれなりに楽しんでいるようでちょっといい感じ。まあ仕事とかもふくめどーいう生活を送るかにもよるんだろうけどね。
永沢光雄はこの機械音を嫌って声のない人生を選び、酒がお友だちになって最後は肝臓でくたばったけど、その『声をなくして』を読むと声を失った時点でこーいう死に方をもくろんでいたようにも思える。
となりのおっさんは以前は大酒のみだったけど手術後はぴたりとやめたらしい。どこかの殿下のように声を失ったわけでもなく一般人と比べるとかなりめぐまれた手術後生活を送っていてもアル中になるひともいるし、がんっていうのはこーいう部分でも個人差の大きい病気だという気はするな。
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声をなくして
著者:永沢 光雄 |
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コメント
人生って心の置き方で全然かわってしまう
何か悟ってきました!?
投稿: lily | 2007年7月26日 (木) 09時38分
その声には聞き覚えが……。10年位前、親戚の法事に行ったらマイクロフォンを喉に当てたおじいさんがこられていました。最初はだみ声ふうの金属音で、なにをいっておられるのかぜんぜんわかりませんでしたが、慣れてきてうなずいたりすると、話がとまらなくなって(たしか、戦争中の話だったような)なんか、ずっと相手をすることになった記憶が……。たいへんに話好きの方らしく、ほかの親戚の人たちはそれを知っていて、つかまるのを注意深く避けていたんですね。知らなかったワタシ。
でも、機械も進歩しますね。雑音が少なくなっている気がします。
あの「声」は、訓練のたまものだったんですね~……。
投稿: たんぽぽ | 2007年7月27日 (金) 10時22分