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2007年6月11日 (月)

ひとさまの闘病記(14)

打ちのめされるようなすごい本 2006年に亡くなった作家米原万里さんの書評集。米原さんははじめ2003年に卵巣にがんが発見され手術を受けたんだけど1年4カ月後にそけい部リンパ節へ転移再発、肉体へのダメージが大きい手術と放射線と抗がん剤はもう避けようと、がん治療に関する本を読みまくり、代替治療と呼ばれる治療法に挑戦し続けました。

この『打ちのめされるようなすごい本』 では、いろいろながん治療の本や米原さんが実際に受けた治療の様子を紹介しています。

■星野泰三/水上治『高速温熱リンパ球療法 がん治療最後の切り札』(メタモル出版)
■江川滉二『がん治療 第四の選択肢―免疫細胞療法とは』(河出書房新社)
実際にこの治療法の本家瀬田クリニック系列の新横浜メディカルクリニックに治療を受けに行くがいきなり「まず手術を受け転移の恐れがある部分(卵巣残部、至急、腹腔内  リンパ節、腹膜)を全て摘出し抗がん剤治療を受けた上で、この治療を受けたほうがいい」と言われるのには笑える。ちなみにこの治療は三ヶ月で六回合計156万円だ。
■フローエッセンス
■サメ軟骨療法
■『悪性ガンは腸から治せ!』(メタモル出版)が推奨する乳酸菌飲料
■御茶ノ水クリニックの森下敬一が『ガンは怖くない』などの著書で推奨する森下食餌療法
一回の診断および強化食品なるものと薬草茶数種で10万円軽くオーバー

まだまだあるぞ。

■菅原勉/畑中正一『がん・免疫と温熱療法』(岩波アクティブ文庫)などが推奨する
温熱療法(ハイパーサーミア)千代田クリニック
■『奇跡が起こる爪もみ療法』(安保徹/福田稔、マキノ出版)などで推奨され日本全国に信者が多いという爪もみ療法では治療に対する疑問を口にして追い返されている。

米原さんは上品なひとなのでこーいう治療法がインチキだとか詐欺まがい商法だとかはひとことも書いていない。ただどれも自分にはまったく効かなかったということ、そしてどれもが、いずれも藁をも摑みたい癌患者の弱みに付け込んで犯罪的に高価だとは書いている。

米原さんが体験した治療はそれなりに信奉者が多いもので、インチキだとか詐欺まがい商法だなんでけっして言ってはいけない。信じることでしあわせになっているひとがたくさんいるのだ。こーいう治療法はまだまだたくさんあるし日本だけじゃなくてアメリカまで行けばもっともっとたくさんある。でも、こーいう治療法を信じるひとたちと『あるある』を見て納豆を買いに行ったひとたちとあんまり違わないように思えてしまうのは、おれの頭が悪いせいだろうか。

どの治療法もまったく利かなかったので、米原さんはけっきょく抗がん剤治療を受け、その副作用によってすさまじい苦しみを受けたあげく亡くなった。もしも自分に体力と気力が戻ったなら、『お笑いガン治療』なる本にまとめてみたいと書いているがそれは果たせなかった。


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