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2007年5月22日 (火)

パンクな病室

きょうは早くも病室を引っ越しました。

きのう入ったのはナースステーションにいちばん近く、しょっちゅうナースコールをする、いちばん手間のかかる患者ばかりの病室で、そこしか空いてなかったのでとりあえず入れられたようです。

その部屋にいたのはようするに動けない老人ばっかりで、例えばとなりのベッドにいたじじいはとにかく一日じゅう声をあげ続けていた。基調となるのは「痛え!痛え!痛え!」、これがしばらく続くとナースコールを押してナースがやって来る。ナースも慣れたもんで「○○さん、どこが痛いの?」、じじいは「全身が痛え!」、ちょっとなだめてすぐに去っていく。

この次に始まるのが「クスリをくれ!クスリをくれ!クスリをくれ!」でまたナースコール。こんどはナースが「○○さん、なんの薬が欲しいの?」、じじいは「痛くなくなって、苦しくなくなる薬をくれ!」、ナースは「じゃあ、もう少ししたら持ってきましょうね」で去ってしまう。

すると今度は「殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!」が始まる。「痛え!」、「クスリをくれ!」、「殺してくれ!」がビートをきかせてリピートし続けるのだ。音だけきけばシャブ中かアル中の入る病院、さもなければ場末の留置所だ。パンクな病室だったのだ。

このビートがとつぜん途絶えると今度はいびきが聞えてくる。そんな騒ぎが何回か繰り返されると、こんどはナースが本当にクスリを持ってくる。見えないので確かではないが点滴で入れているのだろう。じじいが「なんのクスリだ?」と聞く。「痛くなくなって、苦しくなくなる薬ですよ」とナース。「ならいいや」とじじい。しばらくはおとなしくなる。勝手に推測すれば、じじいはなんかの末期がんであちこちに転移があって、薬はモルヒネのたぐいだったのだろう。

そんな次第で移されたのはナースステーションから離れたすみっこの病室。患者は誰ひとりナースコールも押さない、まったく声もあげない静かな病室。おれはべつにあの部屋でもよかったんだけどね。

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コメント

パンクですね、そのご老人というより、みゅうさんが(ばき

投稿: しゅんすき | 2007年5月23日 (水) 22時31分

おれが「クスリくれ!」と叫んでもなんにも打ってくれないのが残念(^^;

投稿: みゅう | 2007年5月23日 (水) 23時51分

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