裂けなかった
きょうの拡張は、さすがにひかえめにしておきましょうということで、痛みもひかえめで食道が裂けることもありませんでした。まあ、そう簡単に裂けられても困るけどな。次回の拡張は二週間後ということなので、しばらくは平和な日々が続きそうです。
退院をするときには毎回病棟から退院証明書というのを渡されて、その中の病名という項目には去年12月の入院までいつも「食道癌」と書かれていたんだけど、今回は「食道狭窄」となっていました。ということはもうがん患者ではないということか。べつにさびしいわけじゃないけど、ちょっと不思議な気分。
去年11月までずっと出たり入ったりしていたのは消化器外科と呼吸器外科の病棟で、入院してる患者はほとんどががん患者でした。いっぽう12月の手術のときと今回入っていたのは消化器内科の病棟だったんだけど、内科の入院患者というのはあんまりいなくてなぜか整形外科の患者ばかり、それも椎間板ヘルニアだとかで脊椎、頚椎に問題があって首にコルセットをつけてる人がやたら多かった。
で、ふたつの病棟の患者を比べてみると、たぶん死というものに近いであろうがん患者のほうが圧倒的に明るかったような気がするのです。食道がんや胃がん、肺がんというのはよほど進行したり他に転移しない限りそれ自体ではあまり痛みというものがないし、病院にいるあいだというのはいちおう治療をしているわけで、まあ治るんじゃないか期待感、明るい要素がある。
それに比べると、椎間板だの脊椎や頚椎の障害というのは、すごい痛みや苦しみが何年も何十年も続いて、手術をしたって治る確率は低い。死に遠いぶん苦しみもながいわけです。けっこう若いひとも多かったんだけど、どの病室にもなんかとっても沈うつな空気がただよっていた。一日じゅう痛がってるひともすごく多かったし、なによりも自分の体がどうなっているのかがよく分からないのがつらいらしい。
もちろんがんだって、進行していればそれなりに死が近いわけだし、再発や転移に苦しみ、抗がん剤の副作用に苦しみ、たいへんなひとは多いんだけど、がんというのはなんか分かりやすいんだよね。がんでよかったというわけではないけど、あーゆう苦しみはぜったいやだなあと思ってしまった今回の入院なのでした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント