やっぱり12月8日だからジョン・レノンの話です。
さいたまスーパーアリーナの上にはジョン・レノン・ミュージアムというのがあって、コンサートに行く人はちょっと早めにいって1500円払ってそっちを見ていくかやめとくかという選択を迫られます。まあ、踏み絵のようなものですな。結果から言うとぼくは行かなかった。たぶん正しいジョン・レノンのファンではないということになるのだろう。
そんなのどーでもいい人にとっては、興味があれば行けばいいし、興味がなければ行かなければいいじゃねーか、というそれだけの問題なのでしょうが、ことはそう簡単ではないのです。
まあ外国でもそういう多少そんな雰囲気はあるみたいだけども、とくに日本ではジョン・レノンはラブ&ピースの象徴として祭り上げられていてそんなラブ&ピースで盛り上がるコンサートもあったりして、ジョン・レノン・ミュージアムというのはそういうジョン・レノン信仰の総本山的な施設だったりするわけです。
でも、ある時期ジョン・レノンを聞いていた人間のなかにはこの「ジョン=ラブ&ピース」という公式にどうしようもない違和感を抱いてしまう人は少なくないと思うのです。ジョンは内省のひとで、私小説のひとで、うつうつなひとだった。声高にラブ&ピースとか叫ぶような、腕を振り上げて観衆をあおるようなそんなひとではなかったはずなのだ。
ビートルズではポールがバラードでジョンはロックンロールだったなんてまぬけなことを言うやつもいるけれど、ビートルズ時代だってジョンは内省的で私小説的でうつうつとしたバラードをたくさん歌っている。「ひとりぼっちのあいつ」だって「イン・マイ・ライフ」だって「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」だって、明るく楽しいビートルズのパブリック・イメージとは対極にある、内に内にこもっていく曲だ。
ジョン・レノン・ミュージアムのサイトを見ると、ここでジョンの人生のことを知って心が癒されましたとか書き込んでるやつとかいるし、世の中にはジョンの音楽を癒しの音楽だとかいってそこらへんの環境音楽といっしょに語っているゾウリムシ並みの脳みそのやつもたくさんいる。まあゾウリムシはゾウリムシで勝手に生きていけばいいわけでよけいなお世話なんだけどね。
ラブ&ピースだってジョン・レノン・ミュージアムだってヨーコさんがそれでいいって言ってんだからべつにいいんだけどね。おれだってほんとうはジョンのギターは見たかったんだけどね。ちょっといこじになっていじいじしてるだけなんだけどね。いじ、いじ、いじ。
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