いまさらですが(1)
もうみんな忘れてしまった話だろうけど、亀田・ランダエタの再戦が具体的になってきたようのでちょっとだけ。
8月2日は抗がん剤集中砲火で、亀田の番組はテレビつけっぱなしでぼおっとしながらも最後の試合の部分はいちおう見ていました。そのあと数日のワイドショーなどでの大騒ぎのことはあとから知って、入院中は接続がおそくて動画が見られなかったので退院してからネット上でいくつか見てみました(Youtubeはもうみんな削除されちゃったけど)。
で、思ったのは、なんでみんなそんなに騒ぐんだろう?べつにいーじゃん、ということ。プロレスと同じだと思って見ればああいう展開は驚くことでもなんでもない。こういうことをいうと「プロレスはショーだけど、ボクシングは真剣勝負のスポーツだ。いっしょにするな」という人がたくさんいるんだろうけど、あの横浜アリーナに1万5千人集めた興行っていうのは全体としてみてショー以外のなにものでもなかったし、番組はバラエティとしてひきつけるものがあったから42.8%なんていう数字をたたき出した。
ようはそれだけのことで、個人的には亀田一家なんか大嫌いだけど、今回の亀田バッシングやTBS批判はほとんどが的外れだったということ。各局のワイドショーだってこのTBSのおこぼれでちからいっぱい商売したわけで、ネタも夏涸れのこの時期に各番組の担当者はみんな喜んだはずだし、だれも損はしていない。ボクシング業界だって注目されるのはぜんぜん悪いことじゃない。
プロボクシングというのはあくまでも「ボクシングは真剣勝負の純粋なスポーツだ」という幻想を売るビジネスで、そういう意味ではかつてプロレスが「プロレスラーは本当にいちばん強いかもしれない」という幻想を売りものにしていたり、その後K-1やPRIDEが「これはプロレスと違って真剣勝負かもしれない」という幻想のもとに人気を集めているのとなにもかわらない。この幻想というのは、夢だとか勘違いという言葉におきかえてもいいんだけどプロ格闘技の興行というのは、そういう幻想だったり、夢だったり、勘違いを楽しむ娯楽だと思う。かつて毎週20%以上の視聴率をほこっていたプロレスはそういう求心力を失ったから、ほとんど世の中から消え去った。
今回の試合に問題があったとすれば、勝谷誠彦がいう頭の悪い演出のせいでこの「ボクシングは真剣勝負の純粋なスポーツだ」という幻想にちょっとだけひびが入って、「ボクシングとはいってもやっぱり興行か」と考える人がちょっとだけ増えただけのこと。二宮清純がボクシングが死んだ日といったのはそういうことだろうけど、これだけみんな騒いでいるということはこの幻想はまだまだ力強く残っていくんだろうな。
なんでこんなどうでもいいことをしつこく書くかというと、このブログを読んでいる人の半分くらいは知っていることだけど、ぼくはかつてちょっとだけプロレスファンだった時期(30年くらいだけど)があって、「やーい、プロレスなんて八百長じゃないか。ほんとうの格闘技っていうのボクシングみたいな真剣勝負のことをいうんだよ。八百長!八百長!」などとあざけられ虐げられてきた暗い過去があるからで「やーいボクシング、ざまーみろ」というひねくれた気持ちからのものです。
ずいぶん長くなってしまいましたが、プロレスファンはK-1のファンみたいに明るくないぞ、虐げられてきた日陰者のうらみは海より深いぞ、まだまだ書いちゃうぞ!ばーろー!
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コメント
あれプロレスファンじゃなくて
昔プロレスラーだったんじゃないの。
投稿: サントリーレッド | 2006年8月21日 (月) 02時59分