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2006年8月16日 (水)

ひとさまの不幸(1)

というわけで退院しました。

となりのベッドでは入院10回目というおっさんが、抗がん剤の副作用でウンウンうなりながら眠っていたんだけど、この人の話をきくとぼくの副作用なんかまだまだ二等兵レベルだなあと思うものです。

この人は副作用以前にがん歴がすごくて3年前60歳のときに胃がんで胃を全摘出、そのあとしばらくすると食道がんが発見され食道を全摘出、もう胃がないので大腸の一部を食道のかわりにする手術を受けました。ようするにのどの下に大腸の一部、次に小腸そして残りの大腸、肛門という順番になりつなぎ目が三つになるわけです。で、そののどのつなげた部分がうまくくっつかなくて再手術、それぞれの端を少しずつ切り取ってつなげ直しました。これは江國滋さんとおなじですね。

こんどはうまくつながったんだけど、そうこうしているうちに肺への転移が発見されまた手術。これで話は終わらなくて、ついに食道というかもと大腸というか、とにかくそのつなぎめにがんが再発します。そこではもう切るところがないよということで、放射線と抗がん剤併用の治療を受けがんは見えないくらいに小さくなり、再発予防のために抗がん剤治療がはじまります。このあたりはぼくといっしょですね。

ここでやっと副作用の話になります。抗がん剤の種類も量も期間もぼくと同じだったんだけど、副作用で腸閉塞、排尿困難、口内炎をおこし3週間食事もできず苦しんだそうです。で、次からは量を8割に減らしてそれほどの副作用はなくなったので治療をくりかえし今回が4回目の抗がん剤投与。

抗がん剤について説明しようとするナースには「どれぐらい苦しいかもう分かっているし、慣れたもんですよ」とだけこたえる言葉のはしにはあきらめ感がただよっているようでもありました。

ふつう胃がなくなると一回にとれる食事の量が減るため病院食も一日5回になるんだけど、この人の場合は7回に分けて食べないと十分な栄養が取れないということで、夜はいちど寝てから夜中に起きてパンとかをちょびっとだけ食べたりしてるみたいでした。

頼藤和寛さんが、がん患者は病気と闘ってなんかいなくて治療の苦しみに耐えているだけなんだというようなことを書いていたけど、この人の場合なんかまさにそんな感じ、治療地獄です。

で、そういう人の姿を見て「自分はめぐまれているんだな、これからはもっと摂生して生きていこう」なんてことはぜんぜん思わなくて、病院を出るといきなり砂場で昼酒一合。「なんだ近所にうまいそば屋があったじゃないか、めでたいめでたい」なんてことをへらへら思いながら十条に戻り、「なんだ斎藤酒場はきょうまで休みか、残念残念」などといいながら昼寝、惰眠をむさぼるのでした。

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