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2006年8月22日 (火)

いまさらですが(2)

「けっきょくは興行なんだから、いろいろと裏はあるだろう」なんていったらみもふたもない。そんなことをいったら、どのジャッジの判定がどうだったとか、あのパンチがどうだったとかいう元プロボクサーたちの解説はほとんど意味がなくなってしまうわけです。かれらがそういうプロボクシング界のタブーにふれることができずにきれいごとですまそうとするのはしょうがないことだろうし。

でも、いちおう鋭い発言をするということでワイドショーとかに出ている識者(のつもり)のみなさんには、出てくるからにはちょっとぐらいは過激というかおもしろいことをいってほしかったわけですが……

二宮清純はスポーツライターという立場から、ボクシング業界からにらまれるのさけたかっただろうけど、興行には裏があるんだということに目をつぶらずに、遠まわしな表現ながらも本音をいおうとしていて、ちょっとだけ過激だった。「興行にはこういうことはつきものだけど、今回のは許容範囲を越えた」「亀田は禁断の果実を食べた」「ボクシングが死んだ日」やっぱり、うまいよね。

やくみつるは、そういう裏の話をおれは知ってるけど今回は触れずにおくよというそぶりをみせながら、亀田興毅のマナーが悪いだの、亀田親子の態度は教育上よくないだのきれいごとばかりいって、つまらないパフォーマンスをして最低だった。亀田興毅のマナーが悪いのはボクサーとしてのパフォーマンスだからかまわないんだ、というガッツ石松のほうがずっとまともに見えてしまった。

勝谷誠彦も同じ。自分は裏情報をたくさん入手しているんだけどそのことには触れずにおくなどと思わせぶりなことをいいながら、あの態度は立派なチャンピオンに対してに失礼だとかやくみつると同じようなきれいごとに終始していた。でも「今回のことは、全国の人が大阪に対して持っている、ああ大阪では何をしても許されるんだ、大阪は二重駐車でもなんでもありの治外法権なんだ、というイメージを裏付けることになったのが罪深い」っていうのはちょっとおもしろかった。

立川談志やしきたかじんは、ふだんは権威にたてつく、だの社会の欺瞞を暴くだのを売り物にしているような連中が「あれは八百長だ!八百長だ!」と今回の試合だけ特別だったかのように正義漢ぶってるのがいちばん気に入らなかった。この二人の番組はそれぞれ東京と大阪のローカルなので、自分たちは全国ネットのテレビの連中がいえない過激なことをいってるんだ、すげえだろ、という逆特権意識が鼻につく。談志の番組では野末珍平「プロレスとボクシングは昔は違ったけど、今は同じになった」という本質を突いたことをぽろっといったんだけど談志は無視していた。

というわけで、みんなとりあえず吠えれば過激そうに聞こえるというだけでお上品な発言ばかりでした。ふだんはワイドショーのコメンテーターってなんて下品だなあとかいってるくせに、そいつらについてコメントするなんてもっと下品なことをしちゃいました。

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コメント

最近思うのですが、亀2のボクシングカラオケショーは結構楽しめました。コレはコレで吉本新喜劇より面白かったです。ある意味で亀親子ショーはショービジネスとしては成功かもしれない。次回の亀1の再戦はテレビ史に残る視聴率を記録することでしょう。真剣勝負としてでなくショーとして、割り切れば結構楽しめる。

投稿: 大阪凹 | 2006年8月23日 (水) 16時46分

ランエダはウハウハ。3回目は興業としてないと考えるなら、次こそKOしてやろうと思うかも。でもシナリオは既にエピソード5くらいまであるかもね。
そんな試合の後に甲子園の決勝戦は感動もの、
真剣勝負は迫力がちがう。ちんけな演出などいりませんな。

応援します、生まれ変わるボクシング。
これからは凶器、かみつき、毒霧を吹きかける時はカブキのメイクも、蹴り、そうそう、タッグ戦でタッチして入れ替わるボクシングなら反則がもっとエスカレートして面白そう。
体重制限もなし。巨大なのを相手に小さいすばしっこいのが股をくぐって後ろに回り込んでパンチするのを見てみたい。
何から何まで大改革だ。カエル跳びはその最初だったか。

スポーツの真剣勝負が少なくなるのはつまらないな。
猪木だけは本気でシンに腕折りやっている、と信じていたものとしては。ストロングスタイルという名の演出にひっかかってただけですか。


投稿: アミーゴ | 2006年8月24日 (木) 00時05分

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