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2006年6月16日 (金)

代替医療の誘惑(1)

とりあえず出来るかぎりの治療を終えて、その影響による痛みなどもなくなってくると、咽喉もと過ぎればなんとかで、がん患者だという自覚がだんだん薄くなってきます。べつにがんが治ったわけでもないし、たとえ7月10日の検査ででがんが消えたとしても完治したなどと喜んでいられないことは分かっていて、ふつうはこのあたりで頼藤和寛さんのいうようにただ「死神からの王手がかかる」のをただ待っていてもしょうがないので代替療法というやつに興味が向いてくる時期なんだろうけど、これがなかなかそういう気分にならないのです。この目先のことしか考えない性格はがんになってもなかなか変わらないようです。でも、いろいろとすすめてくれる人もいるし、自分でもちょっと調べてみたりしたものもあるのでそんななかなか誘惑してくれない代替医療について少々。

これまでいちばん心が動きかけたのは玉川温泉。これはがんの治療にというよりも湯治場というのをいちど体験してみたいと思ったというのが正直なところですが、入院中にネット上でもいろいろと調べ、一時は退院したらぜひ行ってみようと思っていて退院してからは体験記なども何冊か読んでみました。

末期がんに絶大な効能があるといわれ、マスコミにも数多く登場している玉川温泉。700人以上を収容する宿泊施設が常に半年先までいっぱい、毎日温泉につかって宴会気分でがんが治るんならそんな楽なことはないなと考える奴はオレだけじゃないんだななどと思っていたらこれが大違い、実はこれがどうもかなり苦しい温泉のようなのです。

源泉100%・源泉50%・熱い湯・ぬるい湯・岩盤浴などいろいろとチョイスはあるのですが、基本的に強い酸性のお湯は、個人差はあるものの皮膚に炎症を起こすことが多いようです。そりゃあ行ったからには濃いほうが効くだろうと思うのが病人の心理で、より末期の人ほど源泉100%を選びます。そして、そこに繰り広げられる光景は。

皮膚が炎症を起こして、体中に赤い発疹のようになってくると、それを「玉川の勲章」と呼び、自慢する常連のがん患者たち(常連ってことは生き延びているということだけどね)。全身がビリビリ痛むのに、これでがんが治るのならと痛みに涙を流しながら湯につかり続けるがん患者たち。どうも苦行であることがこの玉川温泉をありがたく思わせる要因のひとつになっているようなのです。薬は苦いほどよく効くというやつと同じですな。

目先のことしか考えないがん患者はもうここでアウトです。何百人ものがん患者といっしょにいても酒もうまくないだろうし、たいした料理もないみたいだし、当然のことながら玉川温泉に行ったってすぐに死んじゃった人はたくさんいるし、ネガティブなはなしばかりが目につき始めます。長く生き延びている人がいたってそれがほんとうに玉川温泉のおかげかどうかは分からないし、まあこれは代替医療どれについてもいえることだけどね。

というわけで玉川温泉行きはすぐに却下、そんなことに時間を使うぐらいなら『ケロロ軍曹』でも見てへらへら笑っていたほうがよっぽど体によさそうだと思う今日このごろです。

たしかに『ケロロ軍曹』はおもしろいね。DVDを一巻から借りてきて見始めています。>大阪凹さん

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コメント

未完成の記事をいちどアップしてしまいました。失礼しました。

投稿: みゅう | 2006年6月17日 (土) 01時20分

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