気になる数字(2)
前回あげた5年生存率は手術によるもので、とりあえず放射線科学療法による根治をめざしている患者としてはその数字が気になるところなんだけど、放射線化学療法による実績があがってきたのは最近のことで、手術と比較できるだけのデータがまだないというところのようです。国立がんセンターの東病院とかアメリカの事例では手術と同等の成績をあげているという話はありますが、ようするにこれもやってみないと分からないということなのです。前に紹介した藤原伊織さんは放射線化学療法で食道がんが消えたという報告を雑誌上でしたとたんに再発、この2月に手術をされたそうですが、食道がんの再発はやばいということなので心配です。
初期の食道がんだった岡田真澄さんは5年生存率でいえば数字はそれなりに高かったんだろうけど手術からちょうど1年で亡くなりました。頼藤和寛さんの場合III期の大腸がんで5年生存率36-60%と言われていたのが、手術してから1年を待たずに亡くなっています。そういうことです。
頼藤さんは手術を受けたあと自分の状態を「術後世界」と呼び「味気ないくせに不安と苦痛だけはたっぷりある余生」と表現しています。酒もたばこもやめ「好きなものばかりを心ゆくまで食べて死にたい」と思いながらも、「大麦やフスマ入り玄米食その他『ガンによい献立』の毎日、これが「味気ない」。
「苦痛」は手術の影響によるものもありますが、いつまでも続くのは抗がん剤などの治療によるものです。そして、いつ転移再発が来るかという「不安」。この「味気ないくせに不安と苦痛だけはたっぷりある余生」は、人によって差はあるでしょうが、ある程度の進行がんの患者は誰もが感じることのような気がします。少なくともぼくの場合はそれに近い。
でも世の中にはそうじゃない、そんな「不安や苦痛」に打ち克って「がんと闘う」苦行のような余生を送ることにヒロイズムを感じる人もけっこういて、自分はそれで満足しているみたいだし、そういう話を聞いて感動したりする人もたくさんいるみたいだから別にいいんだけどね。
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