ひとさまの闘病記(4)
予定どおり明日から再入院です。この二週間遊んでくれたみんなどうもありがとう。現実モードはさらにアップし今日は四時半に起きてしまいました。早起きは明日からでいいんだけどね(^^;
後藤明生『メメント・モリ━私の食道手術体験』中央公論社1990
作家の後藤明生さんは1987年55歳の時に虎の門病院で食道がんの手術を受けました。タイトルが「食道手術体験」となっていますが、本の中では自分ががんだとは一切書かれていません。医師からはいちどもがんだと告げられなかったということらしいのですが、それが20年前の常識だったんでしょうね。
なによりも病棟内の様子がこまかく描写されていて、廊下を行きかう「歩く点滴スタンド」をはじめ院内の風景は今とほとんど変わっていない感じ。それが伝わってくる筆力がすごいんだけどね。病棟のデイルームでタバコが吸えるというのが時代を感じさせます。虎の門病院の食事がうまいというのは当時から有名だったようで(もちろん病院食としてはということだけど)ここでも毎日のメニューがえんえんと紹介されていて、これも今とあまり変わらないみたい。
自分の病状、手術前後のことはもちろん書かれているんだけど、できるだけ他の患者や知人の例を紹介しながらがんについて、死について語ろうとしています。例えばある患者の「食道がんの手術をしたらゴクコク、ムシャムシャという感覚はなくなる」という言葉を通して、手術一年半後の自分の状態をさりげなく伝えたりしているところに芸を感じます。ナースがかわいいだの隣のじじいがうるさいだのと余計なことを書いていなのは品性の違いでしょうか(^^;
後藤さんがどの程度の進行具合だったのかはわかりませんが、その後も名作とされる作品を数多く残し1999年に肺がんで亡くなりました。
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コメント
こんにちは。今日ふと思いたって、Oさんに電話しました。ミュウさんと会って、すごく元気そうだったって伺いました。よいよい^^*
次回は私も参加させてくださいね。
まちゃ
投稿: まちゃ | 2006年5月17日 (水) 20時49分
まちゃさん、どうもありがとう。こんど退院したらガツンと(カツンぐらいかな(^^;)いきましょう。
投稿: みゅう | 2006年5月19日 (金) 11時35分