ひとさまの闘病記(3)
重湯とスープだけの流動食だった食事が金曜日に五分粥、きょうから全粥食に出世しました。ほぼ二ヵ月ぶりの固形食にこの数日ささやかな感動を味わっていたのですが、それに水をさす出来事が。ちょっと足の裏が痛むので皮膚科の外来に行ったら、水虫を宣告されてしまいました。正しいおじさんの道へまた一歩進んでしまったようで、なんかかっこ悪くて、ちょっと悲しい月曜日です(^^;
土曜日の夜、教育テレビでがんをテーマにした二時間の番組をやっていました。以前だったらこのたぐいの番組は気にもしなかったと思うのですが、がん患者のはしくれとしてついつい見てしまい(マグロや寿司の番組とザッピングしながらだけど(^^;)ちょっと不愉快になってしまいました。
抗がん剤の副作用に苦しむ患者と共に闘う家族、がんを克服したスポーツ選手、がんと闘いながら「いのちの歌」を歌い続けるおじさんと彼を支える親友、などを取材した「感動的な」VTRを見ながら、識者やがんを体験した芸能人がしたり顔でトークするというありがちな内容で、この番組を見て感動したり、「勇気をもらったり」する人がいるらしいからそれはそれでいいんですが、訳知り顔のアナウンサーに「私たちもがん患者のみなさんに支えられて生きているのかもしれません」などとまとめられるとついつい「別におまえなんか支えてねえよ」と因縁をつけたくなっってしまうのでした。
そんな番組の中で唯一きれいごとではない正しいことを言うが故に少し浮いていたのが森達也さんでした。「誰にでも最後は来るもので、がん患者にはそれが少し早くきたり知らされたりしてしまったにすぎないのだから、がんにかかった人を美化したり特別視するべきではない」というような実にまっとうな発言に、スタジオにいる「良識ある」、「がんと闘う患者やその家族をいっしょうけんめい美化しようとしている」人たちはどうりアクションしていいのか分からないというような場面がいくつかあり、ちょっとスカッとする部分でもありました。
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コメント
その番組見ました。
(みゅうさんがこの病気になっていなければ私もラテ欄の時点で素通りだったと思います。)
そして同じくアナウンサーのその「支えられてる」コメントに「何言ってんだか!」と声を出してテレビにツッコミを入れてました。あの番組でよかったのはみゅうさんが私と同じように思っていたのが分かって嬉しかった、ということだけかも^^;
投稿: C | 2006年4月13日 (木) 13時02分
Cさん、藤原伊織さんが、がんカミングアウト後ある雑誌から『残された者への遺言』という取材依頼を受けたことについて「浮世とは、かくも愚劣な所業にみちている」と書いていましたが、このような番組も「がんをめぐる愚劣なる言説」の最たる例だとは思うのですが、この類のものに感動する人も多いわけでNHKのホームページにはそんな声がたくさん寄せられています。まあ、限られた人生できるだけそのような愚劣なものにかかわらずに生きていきましょう。
投稿: みゅう | 2006年4月14日 (金) 11時23分
Sympathetic Masturbation
俗世間の平和な人というのは、だれでもいいから不幸だと感じれる人を見つけては
同情したがっているんですぅ♪
AVビデオの女優さんが今度は
癌患者になったのね。
投稿: 天声珍歩 | 2006年4月14日 (金) 23時42分