血の話(2)
血の話の続きです。血を400ml抜いたので、これで咽喉の通りがよかったら病院を抜け出し新橋あたりまで行って、「とりあえずレバを塩で五本とレバ刺しかな」という話になるわけですが、そうはうまくいかないわけで、そうはうまくいかないときほど、そうはうまくいってほしいという欲望が強くなるわけです。点滴で栄養は取ってるので、食道以外はとっても健康で食欲はあるけどなんにも食べられない状態のなか、妄想をふくらませる時間だけはたっぷりあるので、こうなると食べたいものが次々と浮かんできて、「とりあえず咽喉の通りがよくなったら食べてやるぞ」というものが次々とリストアップされてくるここ数日なのです。
とりあえず血つながりで浮かんできたトップがフランスのブーダン・ノワール。これは豚の血と油を腸の袋につめたソーセージで、下町の安いビストロなどではよく見かける定番メニューです。ああ血の固まりを食べているなあ、とドラキュラ気分を感じさせてくれる吸血料理。私が一時暮らしていた田舎の市場では、養豚農家の人が、今シメてきましたあ、という感じの湯気がたっているような豚の血がたっぷりのたらいを前にして、このブーダンを作りながら売っていたのですが、これがハーブを何種類か入れたものでとにかく絶品。しばらくはまったものでした。最近は日本のフレンチでもけっこう出すところがあるようなので、ぜひ行ってみたいところです。
そしてこれもいっておきたいのが、韓国料理のソンジクク。固めた牛の血を入れたスープですが、二日酔いのときに最適です。食べていくと、血の固まりがいろいろなスパイスといっしょになって、胃の壁からそのまま滋養として全身にしみとおっていってるなあ、と感じられる健康食。ほどよい辛さで汗もかいて、さあこれからがんがん酒が飲めるぞ、という・・・・・・
あとは中国の血豆腐とかいろいろ思い浮かんできたのですが、だんだん空しくなってきたのでこのへんで(^^;
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ブダンですか~。最初に食べたものがハズレで、あまりおいしくないものだと思っていました。先日salon international de l'agricultureに行ってあれこれ試食し、少し印象が変わりましたが。
わたしは最近、日本の食べ物を妄想しています。パリではなかなかまともな鮨が食べられないので……。ああ、鯵食べたい~。
投稿: 雅 | 2006年3月31日 (金) 01時10分
病院のベッドで注射針さされて採血されながら流れ貯まる自分のその血をうつろな目で見て「血のソーセージ」「血のスープ」
「血の豆腐」を思い出し、おなかを鳴らしながら涎をたらしている患者…
かなりコワィよぉ!
楳図かずおの世界ですね。
投稿: アミーゴ | 2006年3月31日 (金) 02時59分
雅さんはパリですか。私もその田舎のブーダンを食べるまでは、なんでフランス人はこんなもの食べるんだろうと思っていました。パリで手に入るブーダンの多くは凝固剤や保存料が入っているのが多く、おいしいのはなかなかないようですね。
投稿: みゅう | 2006年4月 2日 (日) 19時57分
アミーゴさん、正しいリアクションありがとうございます。
投稿: みゅう | 2006年4月 2日 (日) 19時57分